コラム

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江戸しぐさ


『江戸しぐさ』という言葉を御存知でしょうか?
最近、耳にする事も多くなってきたので御存知かもしれませんが、江戸しぐさとは、江戸に於ける商人達が語り伝えた心構え、考え方、身のこなし方、将又、その美意識や感性までを包含して体系化した商人道とでも言うべき生活哲学です。

米国のニューヨークが未だニューアムステルダムと言う名前の街だった頃、江戸の人口は100万人を超え、当時、欧州最大の都市といわれたロンドンの85万人を上回る世界最大の都市でした。言葉も習慣も異なる人々が全国から集まった異文化の交差点である江戸でトラブルを未然に防ぎ人々が安心して暮らせるように考え出されたのがその出自と言われています。

例えば、『傘かしげ』は、雨や雪の日に狭い道ですれ違うとき、お互いに傘を相手と反対側の外に向けて相手に雫がかからないように配慮する事ですし、『肩引き』は、これまた狭い道で行き交う時に右肩を後ろに引いて道を譲り合うことです。『こぶし腰浮かせ』は、乗合舟で後から乗ってきた人が座れる様に先客が、こぶし分、腰を浮かせて席を詰め合わせる配慮のことです。『粋』を尊ぶ江戸っ子達は、こうした日常生活のマナーを美的な感性にまで高めて行った様です。

江戸時代は、モネに代表されるフランス後期印象派の画家達に多大な影響を与えた浮世絵等々世界に影響を与えた文化も花開いた時代でしたが、翻って現在の東京を見てみるに、携帯電話のマナーを始めとした社会生活を営む上でのマナーの悪さには辟易させられます。

江戸しぐさに倣い、シルバーシートでは携帯電話の電源を切る『銀席電源切りしぐさ』や、公共の場では大声で話さない『公衆面前声潜めしぐさ』等を、新しい時代に登場した飛び道具(携帯電話)を利用する際のルールにして、それらを新たな日本文化として世界に広めたいと思う今日この頃です。


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